渡邉紘一理事長
(坐摩神社宮司)
 
   はじめに
 前理事長寺井種伯氏のご退任に伴い、理事会・評議員会の審議を経て、図らずも理事長の重責を担うことになりました。その職責の重大さを痛感致しますと共に、本院の発展のために微力ながら精励致す覚悟を新たにしております。何卒ご支援ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
 本院の歴史は、明治15年に創立された大阪府皇典講究分所に始まりますが、その所在地は「南渡邊町座摩神社内」とされ、私の曾祖父の父にあたる渡邊資政が社司として奉仕しており、同時に皇典講究分所初期の分所長に名を連ねていたことは、私事ですが感慨深いものがあります。 
 
 
 通信教育の必要性
 神職は人と神との中を執り持つ職業であり、真心こめて神に奉仕すべき立ち場にある聖職者です。このため神職は、従来から大学などの神道コースや神職養成所で教育を受け、さらに厳しい修練を経て、深い知識と高い徳性を積むことが求められます。
 しかし、現実には、神職の子弟の誰もがそのようなコースを辿れるとは限りません。神職の子弟でありながら他職に就いておられる方、神職の子弟と結婚された伴侶、宮司の逝去に伴い急遽後継者に指名された方などがいらっしゃいます。また、神職の家系ではないが第二の人生として神職になりたいと望む方も全国に多数いらっしゃることも事実です。
 この方たちは、神職養成学校や都道府県神社庁が行う講習会等で神職の資格を得る道はありますが、それでもまとまった期間仕事を休んで講習に通うことは実際上困難であることが多いものです。このような現実に目をつぶっては、斯界の人材に不足を来し、斯界の発展は到底望めません。。
 そこで、大阪府神社庁と密接な協力関係のもと、本院の先輩方は、大阪国学院が受け継いできた皇典講究所の建学の精神を踏まえつつ、通信教育によって神職養成を行うという前人未到、難問山積の課題を克服され、全国唯一の神職養成機関を創設されました。
 
     
   通信教育の実績
 果たして、神職に必要不可欠な祭式実技が通信教育によって教授できるのか、既存の神職養成機関と何が違うのか、など斯界からの不安や疑問の声が絶えなかったと聞き及びます。これらの声には今日においても常に真摯に耳を傾け、心しなければならないことであり、また、大阪国学院に関わる後輩たちに語り継いで行かなければならないと考えております。
 開設以来40年余を経過し、毎年1年次生(直階課程)として50名の新受講生を迎え入れ、同時に旧1年次生は2年次生(権正階課程)に進級し、旧2年次生50名は神道人として斯界に旅立つというサイクルを繰り返して参りました。その結果、これまでに2000名余の修了生を送り出すことができました。
 修了生は全国各地において神職として活躍しており、都道府県神社庁の役職に就いて活躍している者も多数いることからみて、本院の目指すところが些なりとも斯界のお役に立てているではないとかと自負する一方、責任の重さを痛感致しております。
 
     
   同窓会の活躍
 また、本院の修了生が自発的に運営している同窓会「かつおぎ会」は、本院修了後においても定期的に祭式研修会を開催するなど、常に自己研鑚に励んでおります。また、階位検定試験講座(通称「K講座」)を開催し、正階、明階のなどの上位階位の取得を目指す勉強会を開いております。本院の通信教育で身についた学習意欲を生涯持ち続け、自己研鑚に努める姿を頼もしく思っております。 
 
   将来に向けた施策
 平成29年に通信教育部開設40周年を迎えたことを期に寺井種伯名誉理事長(前理事長)の諮問に基づき設置された業務検討委員会の審議結果に基づき、本院のあるべき将来像を念頭に置きながら、本院諸規程の整備、事務局業務のIT化の推進、更には昨今大きな問題となっている過疎地神社の守護に携わる人材の育成なども視野に入れ、本院の将来に向けた一層の努力が必要であると考えております。 

 
   むすび
 このホームページをご覧いただき、通信教育による神職養成の一端をご理解いただくとともに、神職への道を目指す人々の指針としていただければ幸いです。